もっと詳しく!生ごみコンポスト
この記事では、GOOD NEWSの取り組みの一つである生ごみコンポストについて、どんな風にやっているのかや、家庭での取り組み方などをご紹介します。コンポストを始めると、まるでペットを飼うかのように、どんどん愛着が湧いてきて楽しくなっていきます。家庭での取り組みも含めると、いろんな失敗をしてきましたが、失敗があっても大丈夫(そして多少ズボラでも大丈夫です笑) ぜひ皆さんも、お店や家庭、学校などで取り組んでみてください。
- INDEX
そもそも「コンポスト」って?
生ごみをゴミにせず、微生物や虫の力を借りて、堆肥(たいひ:土を良くするための肥料)にするためのものです。主に微生物の力で発酵させるものと、ミミズコンポストのように主に虫の力を借りるものと、大きく分けて2種類あります。
微生物のコンポスト
- 微生物のエサになるものを組み合わせて発酵を促し、生ごみも分解してもらう
- うまく発酵させられれば、お肉や魚まで含めて分解することも可能
- ただし微生物のエサで発酵のベースを仕込む必要があり、材料や準備が必要
- 発酵途中も微生物が呼吸するための酸素を入れるためにかき混ぜるなどの管理が必要
ミミズコンポスト
- シマミミズという種類のミミズに、生の野菜クズやコーヒーかすなどを食ベて分解してもらう
- 台所から出た野菜クズを上げるだけでいいのでかき混ぜたりする手間はない
- 生ごみを入れすぎなければ匂いもしません
- ただしネギ類などの匂いの強いものや柑橘類、肉魚に調理済みの食べ残しなどは食べられない
- 暑さが苦手なので夏場は日陰においてあげる必要がある
- 森や庭にいる落ち葉などの枯れた植物を食べるミミズとは別の種類なので、捕まえてきてすぐにできるというわけではありません
実際には、微生物のコンポストにもやっていく中で虫が入ってきたり、ミミズコンポストの中でも微生物が働いていたりするので、厳密には分けられませんが、大きな特長はこんな感じです。
*実は虫も分解しに来てくれる分解者なんです。微生物だけの時よりも、圧倒的に分解が早くなります。
GOOD NEWSでは!
当初の計画では、GOOD NEWS NEIGHBORSの裏側に堆肥舎というコンポストのための専用の場を作り、そこでコンポストを行おうとしていました。
堆肥舎はこんな風に雨風がしのげるようになっています。ただ、ここで問題になるのが、「匂い」の問題と「作業の手間」の問題でした。
うまく発酵すれば堆肥は最終的には匂いは出なくなる(森の土のようになる)のですが、発酵過程では、その時の状況によって匂いが出てしまう可能性もあります。またこのような堆肥舎は、たくさんのコンポストができるのはメリットなのですが、きちんと発酵させるのにかき混ぜるのは結構な力仕事で、時間もかかります。
オープン前は大工さんも施設やお店の工事で手が一杯!と言うこともあり、まずは「バターのいとこカフェ」で試験的に導入していた回転式コンポスターを使って、小さく始めてみることにしました。
微生物で発酵させるコンポストなのですが、BOX形になっていて、BOXを回転させることで中身をかき混ぜることができるようになっています。
実際にやってみるとこれが優れもので、匂いも外に出ず、かき混ぜるのも楽(ただし中身が増えてくると、二人でないと回転させるもの難しくなってきます)。問題は容量ですが、コンポストの数を増やせば十分に対応できるだろうという結論に。
このコンポストに、森の落ち葉70L+米糠20Lと言うのを基本のレシピとして、スターターをつくり、そこに生ごみを投入していていっています。(米糠は那須のお米農家さん『稲作本店』さんにご協力いただいています)
この回転式のコンポストを複数台活用することで、現状(2022年10月時点)で、GOOD NEWS NEIGHBORSの野菜クズやコーヒーかすは7-8割ほど堆肥化することができています。
(徐々に割合は伸びてきています)
*まだ運用を始めたばかりなのでお肉や魚、食べ残しなどは投入していません
できた堆肥はそのままではまだ未熟で、匂いが出なくなるまで熟成させる必要があるため、一度施設内の森に還元して熟成させており、この後つくるハーブガーデンなどにも活用予定です。
お店やおうちでコンポストをやってみたい方へのおすすめ
1. LIFETIME社の回転式コンポスト
・GOOD NEWSで初期から使っています
・容量が300Lと大きく、構造もしっかりしているので雨晒しでも雨もほとんど入りません
・蓋を閉めているときは匂いもほとんど出ません(開けた時は管理の状態によります)
・回転させることでかき混ぜられるので日々の管理も楽です
・ただし容量が大きい分、中身が増えてくると開店させるのに2-3人必要です
・ただ生ごみを入れるだけでなく、落ち葉や米糠、土などでスターターを作る必要があります
・これの数を増やしたかったのですが、2023年夏まで生産休止中とのこと😭
2. Amazonで売られている回転式コンポスト
・容量が160Lとやや小さい(家庭や一店舗であれば十分だと思います)
・回転させることでかき混ぜられるので日々の管理は楽です
・LIFETIMEのやつと比べて投入口が小さいので、入れる時や中身を取り出す時が少し大変
・ただ生ごみを入れるだけでなく、落ち葉や米糠、土などでスターターを作る必要があります
・空気穴が空いていて、屋根の下での利用が良さそう
・GOOD NEWSでは雨晒しで使っているため空気穴をテープで塞いで使っています
3. ミミズコンポストのキャノワーム
・落ち葉などスターターの材料が手に入らないと言う方で、虫が苦手でない方におすすめ
・柑橘やネギ類など一部分解できないものもある
・生ごみを入れる量がミミズの食べる量をオーバーしなければ匂いも出ません
・暑くなるとミミズが死んでしまうので、夏場は日陰に置いてあげる必要があります
・雨が溜まってしまうので、雨の当たらないところが推奨
他にも、定期的にスターターの材料が入ったキットが届いて、生ごみを入れるだけで始められるLFCと言うコンポストもあります。調べると色々出てくるので、ぜひ検索してみてください。
堆肥の使い道がない方にはこんなものもあります
都市部に住んでいる方にとって、コンポストをやったは良いものの、「堆肥の使い道がない」と言うので困ってしまう人も多いです。そんな方には「農家と連携して有効活用できる」+「できた野菜を定期的に購入して支える」と言う仕組みがセットになったCSA LOOPと言うサービスも出てきています。
まだ東京のみで展開中ですが、GOOD NEWS NEIGHBORSにもお店を構えているONIBUS COFFEEさんもお野菜の受け取り場所として参加されているサービスです。お野菜の受け渡しだけでなく、農家さんと直接コミュニケーションの取れるオンライン上の場もあって、会員の人たちで定期的に畑に援農に訪れたりもしています。
また、ベランダでもできる取り組みとしてはキエーロというものもあります。土の中のバクテリアの力を活用して、ほとんどが分解されてしまうため、土の量もほとんど増えません。都会nの家庭や店舗でも一番取り組みやすいのは、このキエーロかなと思っています!
変化していく楽しさをぜひ身近に。
コンポストは毎日変化があって、その変化が楽しみになり、見飽きません。GOOD NEWSスタッフの中でも、「ミミズを2度も全滅させてしまった」などたくさんの失敗をしています。でもそれも一つひとつが学び。
今、日本で出ている燃えるゴミの約4割が生ごみです。生ごみは水分がとても多いので、燃やすのには適していませんが、それを燃やすために大量の燃料が投入されているといいます。環境省が発表している1年間のゴミ処理費用でも2兆円以上!!うちどれくらいが燃料代に使われているのかまではわかりませんが、大きな税金がかかっているというのも事実です。
身近なところから、ゴミを減らしていきたいですね。
参考資料(もっと詳しく知りたいという方へ)
*検索をするといろんな情報が出てきますので、まずは興味を持ったものを検索してみるのがおすすめです。以下はもう少し詳しく実践的な内容を知りたいという方への参考資料です。
野菜が甘く育つ土づくり Part2
https://amzn.to/3VHuxnd
堆肥名人の橋本力男さんという方が様々な微生物コンポストのやり方について解説してくれているムック。生ごみ堆肥だけでなく、草をメインにしたものや牛糞でのやり方などが乗っています。
今さら聞けない 有機肥料の話 きほんのき
https://amzn.to/3MLtAWX
どんな過程で、どんな菌がどう働いているのか?や、コンポストに投入するものが、微生物にとってどんなエサになるのかということまで解説されている本。「うちではこういう生ごみに偏ってるんだけど、どうなんだろう」「身近なこれは使えるんだろうか」というようなことを調べるのに活用しています。
サステナブルポイント
この記事の制作や、コンポストの取り組みも含め、GOOD NEWSのサステナブルポイントを活用して行わせていただいています。
サステナブルポイントとは、GOOD NEWS公式アプリを通じたお買い物金額の1%を、環境や森のために使わせていただくサステナブルポイントとして可視化し、活用させていただいているものです。このポイントは通常のポイントとは違い割引などに還元されるのではなく、GOOD NEWSが行うまちづくりに活用されるというのが特長です。
アプリでも定期的にポイント活用のレポートをさせてもらっているほか、施設や店舗の詳細情報や最新情報も見やすくなっています。ぜひこちらからダウンロードしてみてください。
写真_松永卓也 (GOOD NEWS), 田中佑資 (Farmers Market Inc.)
テキスト_田中佑資 (Farmers Market Inc.)