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【GOOD NEWS NEIGHBORS -北海道・道南編-#1】Local Revolution「おまめとみるくに花束を 生フロランタン」(函館市)

GOOD NEWSが各地を旅するなかで出会ったお店や商品を紹介する『GOOD NEWS NEIGHBORS』ポップアップを、新千歳空港にて展開中。

今回訪れたのは北海道の南部に位置する道南エリアです。この地域で「道南のプレイヤーが繋がり、成長するきっかけ作り」を目的に活動している『道南サミット』のメンバーに案内してもらいながら、お菓子作りをする生産者の方々を訪ねました。2月末、まだ雪が残る大地に少しずつ春の気配が漂い始めた北海道の旅。同行した道南在住のライター・阿部光平が、その模様をお届けします。

道南サミット
2021年発足の有志団体。北海道の左下「道南」18市町の多種多様なプレイヤーが集うコミュニティ。
繋がり、学び、成長し、支え合い、挑戦する。地域の枠を越えた連携で見えてくる可能性を模索して活動を展開中。

阿部光平
編集者・ライター。5大陸を巡り、旅行誌で文章の仕事を始める。地元・函館と各地を行き来しながらローカルメディア『IN&OUT-ハコダテとヒト-』を運営。2021年に函館へUターンし、旧市街での暮らしをまとめた雑誌『生活圏』を刊行した。

地域が抱えている課題を 新しい商品に変える

道南でお菓子作りをする生産者さんを巡る取材ツアーの2日目。昨夜は開湯800年という北海道最古の歴史を誇る知内温泉に宿泊し、名産のカキやニラ料理をいただきながら、賑やかな時間を過ごした。単に移動と取材を繰り返すだけではなく、チームで同じ時間や体験を共有することは言葉のやり取りだけでは埋められない相互理解に繋がっていく。これまでオンラインでやり取りを進めていた取材チームが、旅を通じて血の通った関係性になっていく感覚があった。

 この日は、函館を拠点に活動する『Local Revolution(以下:ローカルレボリューション)』の方に会いに行くことに。ローカルレボリューションは「次の世代のために、いま私たちができること」をテーマに、社会的に価値が見出されていない地域資源を活用し、ローカルに愛ある革命を起こすことを目指す団体だ。地域の新しい産業と食文化を作ることに力を入れている。

 近年、函館ではマイワシが大量に水揚げされるようになったが、市場価値が低く、漁業関係者にとっては悩みの種になっている。そんな課題を解決するために立ち上がり、漁師やシェフ、水産加工業者などと共に、マイワシの価値を上げるためのアンチョビを開発したことで一躍注目されるようになった。そんなローカルレボリューションが次に目を向けたのが、脱脂粉乳とおからだった。

 「牛乳が廃棄されて、酪農家さんが困っているというニュースを見て、自分たちにできることはないんだろうかと思ったんです。それで実際に酪農家さんや乳業メーカーの方々に話を聞きに行ってみたら、北海道にはバターや生クリームに加工される牛乳を作っている酪農家さんがたくさんいらっしゃることがわかって。その製造過程で出てくる脱脂粉乳が過剰在庫で困っているという実情を知りました。そんな脱脂粉乳を利活用ができたら、酪農家さんや乳業メーカーの下支えができるんじゃないかなと思ったんです」

 そう話してくれたのはローカルレボリューションの副代表で、北斗市のレストラン『Pokke dish』のオーナーシェフである齊藤亘胤さん。酪農の課題は、それを基幹産業とする道南地域全体の課題でもあると捉え、脱脂粉乳を活用したお菓子作りに乗り出した。

北斗市にあるレストラン『Pokke dish』は、地元食材をふんだんに使ったモダンローカルフード(革新的な郷土料理)が味わえる人気店。

 時を同じくして知ったのが、豆腐を作る際に出るおからも産業廃棄物として処理されているという事実。地元の6事業者が加入している豆腐油揚げ組合によると、道南だけでも毎年25メートルプールがいっぱいになるほどのおからが廃棄されているのだという。「脱脂粉乳もおからも、栄養価を含めて価値のある食材だと思います。だから、そこに光を当てたいと思って、2つの食材を使ったお菓子を作ることにしたんです」。地域の課題をまとめて、お菓子で解決する。お金をかけて廃棄していたものから、人が喜んでくれるお菓子を作るなんて、まさに革命的なアプローチだ。

ローカルレボリューションの副代表の齊藤亘胤さん(右)と、妻で生フロランタンのレシピ開発を担当した美寿々さん(左)

価値ある地方の取り組みを 中央に届けるために

実際に、脱脂粉乳とおからでお菓子を作るにあたって、レシピの開発を担当したのは齊藤さんの妻である美寿々さんだった。様々なお菓子の試作を経て、最終的にはしっとりした食感の生フロランタンが誕生した。

 「脱脂粉乳って、すごく扱いにくい食材なんです。溶けにくいし、独特な乳臭さもあって。だから、味として全面に押し出すのではなく、キャラメルヌガーの素材として使っています。おからも豆の青臭さがあるので、どう使ったらいいのか難しかったんですけど、フロランタンの生地に混ぜ込むことにしました」

 そうして完成したお菓子は『おまめとみるくに花束を』というブランドとしてリリースされた。おから(おまめ)と脱脂粉乳(みるく)、価値があるにも関わらず、これまで光が当たらなかった食材を讃えるという意味が込められている。

それぞれが自分たちの商品や物づくりの姿勢を通じて、お互いの考えを理解していくような話し合いだった。

 アンチョビや生フロランタンなど、地域の未利用資源を活用して次々と新たな商品を開発しているローカルレボリューションだが、これまでの道のりは決して平坦ではなかった。初期の苦労について、齊藤さんは次のように語る。「もともとマイワシがとれすぎて漁師さんが困っているという話を聞いたときに、少しでも力になれたらと思って、お店のメニューとして出していたんです。だけど、全然注文が入らず、店内でフードロスになってしまった経験があって。一方で、ローカルレボリューションでアンチョビを作ったら、たくさんの方に喜んでもらえたんですよ。そのときに思ったんですよね、自分ひとりで何かしても広がらないし、世の中に課題や価値を伝えるためにはやっぱり仲間が必要なんだなって」。

 齊藤さんの話に深く頷きながら、宮本さんは「僕もスモールビューティフルみたいな価値観が好きで、今でもそういうことが美しいと思ってます。だけど、未利用のものを活用し続け、地方の小規模酪農家を守り続けるためには、事業としてスケールしなきゃいけないってことに、数年前に気づかされたんですよね。いろんな人を雇用することでお金が動くし、その人たちが買い物をしたり税金を払うことで地域の経済が回っていけば、いい世の中になっていくんじゃないかなって」と話した。続けて「その延長線上に、ローカルの人たちの価値ある取り組みが中央にも届けるということがしたくて。そういう考えに新千歳空港さんが賛同してくれて生まれたのが、今回の企画なんです。だから、空港という大勢の人が集まる場所で、ローカルでの取り組みや商品を紹介することで、全体がちょっとずつでもいい方向に向かっていったらいいなと思っています」と、今回の企画にかける想いを語った。

東京でアクセサリー作家として活躍していた美寿々さんが作るケーキは見た目も華があって可愛らしい。

各地から人が集まる空港は、商品にとっても格好の出会いの場だ。そこに並べられる商品は、地域や作り手の代弁者になってくれるに違いない。新千歳空港に集まったお菓子が、誰かと道南を繋ぐきっかけになる。そんな未来を楽しみに、今回の旅を終えたいと思う。

「自分が食べたいものを作っています」という言葉の通り、タイミングによって並んでいるクッキーが違っているのもお店に行く楽しみのひとつ。

▼道南サミット的おすすめポイント

「おまめとみるくに花束を。生フロランタン」は、「北海道の未来を共に」をコンセプトとした道南発のサステナブルな焼き菓子です。すべて手作りにこだわり、地域の方々の思いが詰まった生フロランタンは、栄養価が高くヘルシーな「生おから」の食感と、「脱脂粉乳」の優しさが唯一無二のお菓子となります。北海道や道南に想いを馳せて味わっていただけたら幸いです。

■展開スケジュール 
4/16(火)~5/20(月)

■展開商品 
・おまめとみるくに花束を 生フロランタン1,398円(税込)
・おまめとみるくに花束を チョコフロランタン 1,566円(税込)

▶次回【道南編-#2】旅のつづきを読む

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