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【GOOD NEWS NEIGHBORS -北海道・道央編-#4】SATURDAYS

札幌もまた、ローカル / Sapporo As a Local

新千歳空港にて展開中の「GOOD NEWS NEIGHBORS」ポップアップ。各地を旅するなかで出会ったお店や商品を紹介しています。道央編のキュレーターは、札幌のゲストハウス 「UNTAPPED HOSTEL」のオーナー、神輝哉(じん・てるや)さんです。雪国の長い冬・長い夜に、薪ストーブを囲む時間は格別。あれやこれやと語りながら自然と話が深まります。今回のポップアップに参加してくださるブランドのみなさんとも顔を突き合わせていろいろと話してきました。そんな様子を切り取り、記事にしてお届けするのが本誌です。 ぜひ、ページをめくってみてください。

道央第三弾はこちらから。

第四弾 SATURDAYS

札幌発、共感から広がるチョコレートとフレーバー
SATURDAYS

カカオの生豆(ビーン)からチョコレートの板(バー)まで自分たちで仕上げる「Bean To Bar」チョコレートブランド「SATURDAYS」。世界的なアワードに入賞するほどのおいしさを裏付けるのは、北海道産素材へのこだわりです。選びきれないほど多様な味や風味に魅了される人は多く、2015年のオープン以来、道内外にファンを生み出し続けています。

困りごとを解決するチョコレート

お店に入った瞬間、陽気な音楽と暖かな雰囲気の中で、思わず”パケ買い”したくなるカラフルなパッケージのチョコレートを見ながら、自然と会話が始まりました。

「海外の壁紙をパッケージに使っているものもあるんですよ」

今回お話を聞いたのは、SATURDAYSの秋元力さん。この記事の執筆も、GOOD NEWS 諏訪晃代が担当しています。

店頭には、クラシックなダークチョコレートから北海道らしいものまで、さまざまな種類のカラフルなチョコレートが並びます。剣淵町(けんぶちちょう)のキヌア、佐呂間町(さろまちょう)産のかぼちゃ、滝上町(たきのうえちょう)の和ハッカオイルなど、北海道産のさまざまな食材が活かされているチョコレートも。カカオの味は生産者や産地ごとに違うのはもちろん、仕入れのタイミングによっても変わるそう。

「私たちがこだわっているのは、原材料であるカカオ豆の選定から、焙煎、粉砕、コンチング(練り上げ)、成型までのすべての工程を一貫して行うBean To Barスタイルです。この製法により、カカオ豆本来の風味や個性を最大限に引き出し、他にはない個性豊かなチョコレートを作ることができます。

もちろん、カカオにはこだわりを持っています。カカオの生産国は、かつて欧米諸国の植民地だった歴史を持つ国が多く、今でも経済的に困窮している国もあります。私たちは、高品質なカカオを育て、適正な価格で取引することで、カカオ農家の経済的自立を支援する組織から仕入れています。

ただ、困っているのは海外のカカオ農家だけではありません。日本の生産者も多くの課題を抱えています。自然災害や気候の影響で生産量が変わったり、品質に問題はないのに見た目が悪く売れ残ってしまうこともあります。

毎日のように地域の人と会ったり話したりすると、地方の市町村だって頑張っているし、町おこしをしたい、もう一度頑張りたい、と相談がくることも多い。そこで思ったんです。僕はそれに答えないわけにはいかないと。1回の製造量が少ないからこそ答えられること、できることがある。このフットワークの軽さも大切にしています」

宮本もうなずきます。

「僕も自分が行くことを大切にしています。先に来られたら負けた感じすらしちゃう(笑)。生産者とか農家さんだけじゃなくて、ご縁があれば自分から会いにいきたいですね。僕らが展開するバターのいとこも、バターを作る際に出て活用されにくいスキムミルクに困っていた酪農家さんとの会話から始まりました。人との出会いから新しいものが生まれることは多いですよね」

出会う、話す、始まる

共通点で盛り上がる中、ふと宮本が秋元さんに聞きました。

「なんで今回、僕らGOOD NEWSとこの取組みをやってくれたんですか?」

すると秋元さんからこんな言葉が。

「ありがたいことに、いろいろな方からお声掛けいただいています。でも『本当に面白そうだ』って思える出会いはそんなに多くないんですよ。今回やりたいなと思ったのはGOOD NEWSに共感したから。取り組んでいることが、いいなって思ったからです」

▲SATURDAYSの秋元さん。カカオ豆選びは出来る限り現地に足を運んでいるそう。

それを聞いて宮本は少し遠くを見ながら「いや〜嬉しいな。嬉しい」とゆっくり話し始めました。

「正直、GOOD NEWSとして伝えたいことも多いけれど、なかなか伝わらないことも多くて。伝わらない中で、多くの人にお菓子を販売するいわゆる”土産菓子”として販売していくことは自分の中の葛藤もあって。僕は田舎でずっと事業をしてきたから、たくさん数を売りたいわけじゃない、そんなつもりじゃないんだけどな、って思うときもある。

だけど地方の課題を産業にしていくためには成長もしていかなくてはいけないから、こうしていまGOOD NEWSとして様々なチャレンジをさせてもらうことは、僕の中でのチャレンジでもあります。そんな葛藤を抱えながらも前に進もうとしていく中で、秋元さんに今回そう言ってもらえて、めちゃくちゃ嬉しいです」

みんなで感慨に浸っていたら、最後にもう一つ、秋元さんが素敵なことを言ってくれました。

「出会って一緒に何かをすることで、自分にとってもきっかけになると思ったんだよね。世代も違うし会社の大きさも違うけど、ドキドキ感って次に進むためには大事なもの。話を聞いてドキドキしたんです。だからやりたいなと思った」

取材前にオンラインでお時間をいただいたときも、それぞれの会社のことや想いのことは伝えていて、だけど、お店で直接顔を見てお話させてもらうことで、そこには間違いなく違う時間が流れていました。

だから宮本は、日本全国必ず自分の足で生産者のもとを訪れ、この新千歳空港でのポップアップにおいても必ずその地へその場所へ、その人に会いに行くことにこだわるんだと思う。

そして秋元さんが感じて伝えてくれたことが、この出逢いこそが、私たちGOOD NEWSがポップアップを続ける意味なんだと、秋元さんとの出会いを通して、改めてそう思いました。

▲ラッピングもちょっとした手間を大切にしているという。展開時期はクリスマスも重なるので、クリスマスラッピングについての会話も。「自分たちにとってはちょっとの違いが、買ってくださる方には全然違うお土産になると思う。」と宮本。
▲試食のスタイルにもちょっとした手間が。新千歳空港でも実施させてもらうことに。
▲商品紹介
インターナショナルチョコレートアワード・アジアパシフィック2024で受賞した、道産素材を使ったチョコレート。左から北海道ホワイト パンプキン&ニブス、レーズン。北海道ホワイト きなこ&キヌア。北海道ミルク ウガンダ60&スペシャル・バニラ。その他、今回の出店限定で北海道アソートセットや、クリスマスギフトにもおすすめなクリスマスセットも展開。

■展開スケジュール

12/1(日)~ 2/14(日)

取材:宮本吾一 / 諏訪晃代  / 横山えりな
執筆:諏訪晃代
撮影:横山えりな

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